研究課題
口腔内は常に細菌・ウィルス感染などの危険に曝されており、難治性の口腔粘膜炎症を引き起こすことが多い。このような口腔内の慢性炎症は、ときとして口腔前癌病変(白板症・紅板症)、口腔前癌状態(扁平苔癬)、さらには発癌の原因になることもあり、その病態メカニズムを明らかにすることは重要である。本研究は、マクロファージの分化・機能・アポトーシスの分子機構を、小胞体ストレスシグナルの観点からアプローチすることによって、炎症性疾患の緩解に向けた新規分子機構の発見、さらに新規創薬標的の発見に迫る。前年度のin vitro実験系によって明らかにされた、マクロファージの分化・機能・アポトーシスと小胞体ストレスシグナルの関係をより生理的に検討するため、マウスを用いた炎症モデル実験系を確立し、野生型マウスとノックアウトマウスの比較において評価した。具体的内容は次のとおりである。(1)マウス表皮創傷治癒モデル(マウス背部表皮のパンチングによる創傷治癒モデルをノックアウトマウスに応用し検討した。)(2)口腔粘膜創傷治癒モデル(疾患、治療の過程で口腔粘膜においてしばしば観察される創傷による炎症モデルとして、マウス口蓋粘膜の創傷により、その治癒過程でのマクロファージの動態、炎症病態について観察する系を確立した。)(3)酢酸滴下による口腔粘膜炎症誘発モデル(口腔内は、熱・酸・たばこ・刺激物などの刺激に絶えず曝されている。それによる物理化学的炎症モデルとして、酢酸の滴下によるマウス頬粘膜での炎症誘導実験を確立し検討した。)本研究成果を、論文および学会にて発表・報告した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
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