研究概要 |
【目的】本研究は、飼料飼育形態の変更による脳梗塞モデルラットの感覚運動機能、学習・記憶機能の回復過程に及ぼす影響について検討することを前提に、安定したモデル作成を目的とした。 【方法】実験動物には8週齢のWistar系雄性ラットを用いた。手術方法はLongaら作製方法に従い、脳梗塞モデルラットを作製した。術後2週目に固形飼料を給餌するMCAo固形群と、液体飼料を給餌するMCAo液体群に分け、さらに偽手術後に固形飼料を給餌するSham固形群の3群を設定し、以下の検討を行った。 (1) 体重測定および感覚運動機能評価 体重測定および感覚運動評価は、飼料変更後,1週間隔で28日目まで行なった。感覚運動評価にはLimb Placement Test (LPT)を用いた。 (2) 学習・記憶機能評価 行動実験として、飼料変更後35日目よりMorris water maze task (MWM)を行い、獲得試行120秒間内でのplatformに到達するまでの時間(escape time)および壁周辺の遊泳(Thigmotaxis)時間を測定した。 (3) 脳の梗塞部体積の測定 飼料変更後42日目にラットの脳を摘出し,凍結切片を作製後,2%TTC (2, 3, 5-triphenyltetrazolium chloride)溶液にて37℃で30分間インキュベートし,染色を行った後,脳梗塞体積をImage J softwareを用いて算出した. TTC染色において,脳梗塞体積にMCAO両群間に有意差が認められなかったことから,永久脳梗塞モデルラットの作製に差はなかったことが示された. 本研究の結果から、咬合・咀嚼が脳梗塞後の学習機能障害の回復に及ぼす影響を検討できる実験系の構築が可能であり、また、咬合・咀嚼が脳梗塞後の学習機能障害の回復に有効であることが示唆された。
|