本研究では、近年、脳の健康を含む全身健康における咀嚼(チューイング)の効果に着目し、内臓脂肪型肥満の予防・治療法の減量プログラムとしての咀嚼運動の有効性を検証するため、ボランティアを募り疫学的調査を行う。即ち、食事内容や運動等の日常生活を変更せず、毎食前に10分間ガムチューイングを約2ヶ月間実施し、実施中のタニタ体組成計による種々のパラメーターの計測、および実施前後に身体計測、体脂肪量計測(内臓脂肪・皮下脂肪)および栄養摂取量調査により肥満抑制効果の有無を検索した。特に、本研究の特徴として、臍帯位の内臓脂肪および皮下脂肪計測には、信頼性と客観性に優れたMRI画像解析によりガムチューイング実施前後の判定を精密に行った。 20年度の成果:20代女性を対象に食前ガムチューイング法を実施した結果、データの詳細な解析は進行中であるが、明確ではないが内臓脂肪の減少傾向、それに加えて減少率が低いが確実に体重を減少させ、皮下脂肪の多いBMIの高い被験者では皮下脂肪が、内臓脂肪の少ない被験者では体脂肪が減少していた。また、例数は少ないが、食前ガムチューインによる減量では、多くのダイエット法に見られるリバウンドが殆ど見られていない。 現在は、本研究の成人への適応ならびに肥満抑制によるメタボリックシンドロームの予防などを目的として予備調査を実施している。さらに、内臓脂肪量や体脂肪の減少の原因解明の為に、血中の肥満関連のホルモンや糖尿病因子なども検査項目に加えて研究を進行している。
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