本研究はラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)技術と歯科用CAD/CAMを組み合わせることによって、現在の歯科用CAD/CAMが抱えている問題点を克服すると共に、この技術による新たな歯科医療技術と材料の開発を目的としている。レーザー焼結(EOSINT270 ; EOS)、レーザーと加工の複合機(LUMEX25C ; MATSUURA)の2機種を用いて作製されたコバルトクロム合金とチタン合金試料の機械的性質を鋳造試料と比較検討した。また、フルクラウンとブリッジの歯科補綴物としての形状および適合性を調べた。 その結果、コバルトクロム合金の機械的性質ではラピッドプロトタイピングの焼結体と鋳造体に有意差は認められなかったが、チタン合金の機械的性質ではラピッドプロトタイピングの焼結体で引張強さおよび硬さが共に鋳造体より大きく、全体に均質であったが、組織観察では、積層方向とレーザービームの走査方向による異方性が認められた。 フルクラウンとブリッジの形状および適合性では、レーザー焼結(EOSINT270 ; EOS)によって、Co-Cr合金粉末による製作物は、形状および適合性共に臨床応用可能なレベルにあると考えられたが、チタンおよびチタン合金では更に詳細な検討が必要と思われた。レーザーと加工の複合機(LUMEX25C ; MATSUURA)の場合は、切削による表面形状は十分に臨床応用可能と思われたが、支柱のサイズなど製作方法の検討ならびに適合性の改善が必要と考えられた。
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