ポリカチオン(ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリリジン、キトサン、プロタミン)とDNA(300bp)の反応から得られたDNA/ポリカチオン複合体はすべて水不溶性の粉末であるが、これら粉末をテフロン板に挟み、加温(70℃以内)しながら加圧(30MPa以内)するとすべて透明フィルムとなった。また、低分子(約5000)のポリアルギニン、ポリヒスチジンあるいはポリリジンとDNA(300bp)から得られたDNA/低分子ポリアルギニン、DNA/低分子ポリヒスチジン、DNA/低分子ポリリジン複合体は50℃、5MPaの条件下でも透明フィルムになることが明らかになった。さらに、DNA/プロタミン複合体は水と混和し、乳鉢上で練和すると半透明のペーストになり、乾燥すると透明フィルムになることも明らかとなった。また、DNA/低分子ポリアルギニン、DNA/低分子ポリヒスチジン、DNA/低分子ポリリジン、DNA/プロタミン複合体は他の複合体よりPBSバッファー中での分解はやや速いことが明らかとなった。すなわち、分解性が優れていた。細胞接着予備試験を骨芽細胞および上皮細胞を用い行ったところ、骨芽細胞の場合はスフェロイドを形成する傾向が強かった。一方、上皮細胞の場合は初期ではフィルムに接着し、伸展したが、その後スフェロイド形成するものもあった。今後、細胞種を追加し、フィルム種と細胞接着の相関を詳細に検討する必要があることが明らかとなった。
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