研究概要 |
Phosphodiesterase (PDE)は11種類のサブファミリー(PDE1からPDE11)に分類され,cAMPやcGMPを分解しその濃度を調節している.Differentiation-inducing factor (DIF)は細胞性粘菌や卵細胞の分化誘導物質として発見されたが,ターゲット分子は不明であった.しかし,2004年にわれわれがDIFのターゲット分子がPDEであることを世界に先駆けて発見したことより分化とPDEを直接結び付け,PDEシグナルが分化の新しい分子標的である可能性を導き出した.平成20年度の研究で,マウス皮膚由来メラノブラストとマウスES細胞のメラノサイトへの分化にPDE4が関係する可能性が示唆された.そこで,マウスB16メラノーマ細胞でPDE4の発現と分化との関係を検討した. B16細胞ではPDE4活性を認めた.また、4種類あるPDE4アイソザイムのうち、PDE4BとPDE4Dが発現していた.更に各アイソザイムのsplice variantsを確認したところPDE4B2、PDE4D1、PDE4D2とPDE4D9の発現を確認した.そこで、PDE4特異的阻害剤を作用させたところ分化誘導マーカー(tyrosinase活性や遺伝子の発現)が亢進した.次に、PDE4特異的なsiRNAを作用させ、リアルタイムPCRで抑制を確認した. 以上の研究よりPDE4が分化に関係することが示唆された.
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