研究分担者 |
三島 克章 岡山大学病院, 口腔外科(再建系), 講師 (60304317)
平田 あずみ 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40263587)
山田 朋弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60335619)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
藤原 久美子 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (60404737)
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研究概要 |
研究目的 口蓋裂の発生における二次口蓋形成時の形態変化は,口蓋突起の下方への伸長,水平転位,そして左右の口蓋突起の癒合と二次口蓋の間葉組織の結合による癒合であり、各ステージの機構について多くの報告がなされているが、口蓋裂発生のメカニズムは未だ解明されていない。 本研究は,基底膜の断裂にはその構成成分に対する特異的酵素による分解が必要であり,ヘパラン硫酸特異的エンドβ-D-グルクロニダーゼであるヘパラナーゼが,パールカンのヘパラン硫酸鎖を切断することにより基底膜を分解すると想定されることから、基底膜型プロテオグリカン(パールカン)およびその特異的分解酵素ヘパラナーゼの動態に着目し、上皮索基底膜断裂と口蓋形成のメカニズムの関連について免疫組織化学的に検討した。また、口蓋突起の基底膜をはじめ、細胞膜表面,細胞外基質に局在するプロテオグリカンおよびその分解酵素であるヘパラナーゼ、パールカン、そしてプロテオグリカンの発現により遊離、活性化されると考えられている増殖因子bFGFとそのレセプターFGFR-1,2,3,4の局在を免疫組織化学,in situ hybridization法によって明らかにし、基底膜の消失と口蓋突起癒合との関連を解析した。 研究結果 1.口蓋突起癒合期には,上皮索基底膜においてパールカンおよびコラーゲンIVの消失が観察された。 2.口蓋突起上皮細胞が分泌したヘパラナーゼはパールカンのヘパラン硫酸鎖に抱合されている増殖因子を遊離・活性化することにより間葉系細胞の分化・増殖を惹起する可能性が推測された。 3.口蓋突起上皮細胞が分泌したMMPはコラーゲンIV分子を細分化することで,上皮索基底膜の分解に関与することが示唆された。 4.口蓋突起上皮細胞が分泌したヘパラナーゼは、上皮索基底膜パールカンのヘパラン硫酸鎖に抱合されている増殖因子bFGFを遊離活性化する。 5.遊離活性化されたbFGFはFGFR-1を介して間葉系細胞の分化・増殖を惹起し、口蓋形成に関与することが示唆された。
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