研究課題/領域番号 |
20659314
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
菅原 利夫 愛知学院大学, 歯学部, 客員教授 (10116048)
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研究分担者 |
平田 あずみ 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任研究員 (40263587)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
藤原 久美子 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (60404737)
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (10513187)
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キーワード | 口蓋裂 / 発生メカニズム / 口蓋突起 / パールン(perlecan) / ヘパラナーゼ(heparanase) / βFGF / FGFR-1, 2, 3, 4 |
研究概要 |
[目的] プロテオグリカンは細胞表面や細胞外基質に存在し、ヘパラン硫酸(HS)などの糖鎖やコアタンパク質を介してさまざまな分子と相互作用をし、細胞活性を制御する重要な働きを担っている。本研究では、実験1:口蓋突起癒合期における上皮索基底膜の断裂と口蓋形成のメカニズムを明らかにするため,実験2:口蓋形成期の口蓋骨および上顎骨形成へのHSとその分解酵素ヘパラナーゼの関与を明らかにするために、パールカンならびにヘパラナーゼの局在性を免疫組織化学的に検討した。 [材料と方法] ラミニンとパールカンの二重染色による蛍光顕微鏡観察、および、osterix、osteopontin、およびヘパラン硫酸、ヘパラナーゼを免疫染色し、光顕、蛍光顕微鏡にて観察した。 [結果と考察] 実験1 口蓋突起癒合期には,上皮索基底膜においてパールカンおよびコラーゲンIVの消失が観察された.口蓋突起上皮細胞が分泌したヘパラナーゼはパールカンのへパラン硫酸鎖に抱合されている増殖因子を遊離・活性化することにより間葉系細胞の分化・増殖を惹起する可能性が推測された.また、口蓋突起上皮細胞が分泌したMMP (matrix metalloproteinase)はコラーゲンIV分子を細分化することで,上皮索基底膜の分解に関与することが示唆された. 実験2 口蓋突起癒合後に口蓋骨形成予定域に細胞の集積を認め、骨形成は生後0日に観察された。osterixは骨表層の骨芽細胞のみに、osteopontinは骨梁表層に認められた。形成された骨基質の一部にHS局在が観察された一方で、ヘパラナーゼは骨表層の骨芽細胞に認められた。これらのことより、口蓋骨形成は口蓋突起癒合後に開始すること、さらに、骨形成過程において骨芽細胞が産生したヘパラナーゼにより骨基質中に存在するヘパラン硫酸に抱合されている増殖因子を遊離・活性化させ、硬口蓋形成に与る可能性が推察された。
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