研究概要 |
有用な形質を付与した遺伝子組換え植物の開発が実現可能になり、特にアグロバクテリウム法による形質転換植物における外来タンパクの発現に関しては,種子内で発現蓄積した組換えタンパクは非常に安定性が高く,抗体を発現させた場合でも室温保存で何年も分解しないことが報告されている.組換え植物を摂取することに対する議論は存在するものの,このような食べるワクチンはウイルス由来ワクチンに比較すれば安全性は高いと考えられる.そこで本研究では,歯周病原性菌であるPorphyromonas gingivalisの線毛遺伝子をイネに組換え,コメに発現させることを最終目標とし,それに必要な.植物への細菌由来タンパク遺伝子の組換え技術の確立をめざす. 今年度は,P.gingivalis線毛タンパクに蛍光を発するGFPを融合させ,菌体や植物内でトレース可能なタンパクの作成を試みた.P.gingivalisのうち,病原性が低いとされているタイプ1線毛を持つ381株,ATCC33277株,および病原性の高いタイプ2線毛を持つOMZ314株,6/26株を培養し,菌体からゲノムDNAを抽出した.このゲノムDNAをテンプレートとし,線毛遺伝子fimAをPCRによって増幅した.このPCR産物をTopoクローニングシステムを用いてクローニングした.ついでクローニングしたfimAを切り出し,GFP融合TOPO(R)TA発現キットに導入してGFP-fimA融合タンパクの作成を試みた.しかしながら,大腸菌内での毒性のためか,有効なクローンが得られなかった.次年度はコピー数の少ないプラスミドを利用して,発現量を減少させ,クローンを得ることを計画している.
|