研究課題
萌芽研究
GFR(腎糸球体濾過量Glomerular Filtration Rate)は本研究申請時の日本腎臓学会提唱GFR式(旧GFR)(男性=186.3x(血清クレアチニン値)^<-1.157>x(年齢)^<-0.203>x0.881:女性=男性GFRx0.746)と現時点で日本腎臓学会提唱のGFR式(新GFR)の2つで検討した。各疫学調査対象群のGFRと口腔の関係に関する検討結果を以下に示す。(1)60歳と65歳住民と61歳から81歳住民における腎機能と口腔との関係60歳・65歳住民393名と61歳から81歳の住民264名の計657名を対象にした新GFR・旧GFRと健全歯数・残存歯数・PD平均値・PD最大値・AL平均値・AL最大値・出血平均値・咀嚼可能食品数との相関関係は、新GFRとAL平均値が負の関係(P=0.021)、旧GFRとAL平均値が負の関係(P=0.019)を示したが、他の口腔所見とGFRには有意の関係を認めなかった。新GFRと旧GFRには強い相関関係(P=0.000)があった。GFRとAL平均値の関係を年齢加えた重回帰分析で解析すると新GFR、旧GFRのいずれもAL平均値と有意の関係を認めなかった。(2)80歳住民における腎機能と口腔との関係:80歳住民823名中解析可能データがある670名を対象とした新GFR・旧GFRと残存歯数・咀嚼可能食品数との相関関係は、いずれも有意な関係を認めなかった。新GFRと旧GFRには強い相関関係(P=0.000)があった。(3)85歳住民における腎機能と口腔との関係:85歳住民207名中解析可能データがある205名を対象とした新GFR・旧GFRと残存歯数・咀嚼可能食品数との相関関係は、いずれも有意な関係を認めなかった。新GFRと旧GFRには強い相関関係(r=0.998、P=0.000)があった。本研究結果から、60歳、65歳、61〜81歳、80歳、85歳の地域住民集団において、GFRと各種口腔所見との間には一部AL平均値と軽い負の関係が見られたが、年齢を補正することで有意の関係は消失した。このことから、年齢に伴いGFRも各種口腔所見もともに悪化するため年齢を補正しない場合は有意な関係を認めるが、GFRと口腔所見の間には独立した有意の関係は存在しないことが示唆された。
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