H21年度入職の新卒看護師を対象とした危険予知トレーニング(KYT)の受講の効果を、視点移動を中心とした確認行動、および、危険な状況の察知状況から検討するため、対象者をKYT後に2回目の測定を受ける群(介入群)、2回目の測定後にKYTを受ける群(コントロール群)に分け、KYT研修およびベッドサイドケア実施時の行動測定を実施した。対象者の募集は、看護部を通して実施した。 ケアシナリオは、新卒看護師でも負担なく実施できるよう、また、配属された科による違いが大きくならないよう配慮し、その日初めて受け持つ患者の血圧測定とした。また、ケアシナリオの中に、危険な環境、間違った薬剤などのトラップ(問題として気付いてほしいポイント)を設定した。対象者1人当たり2回の行動測定を実施するため、トラップ設定は2種類(各8つのトラップが含まれる)を用意し、対象者に均等に割り付けを行った。シナリオ、トラップが適切であるかを判断するため、臨床実習を終了した看護学生を対象とし、8月~9月にプレテストを3回実施した。行動測定では、ケア中の行動および眼球運動を記録した。 18名(介入群9名、コントロール群9名)が参加し、平成21年11月2日~12月10日に15回の行動測定、2回のKYTを実施した。行動測定を記録したビデオを複数の研究者で確認し、新人看護師として注意できるとよいポイントをまとめ、行動の振り返りチェックポイント、トラップについての資料とともに各自の行動記録画像、アンケートを参加者に送付した。 トラップへの気づきの総数は、個人差が大きく、介入の有無で明確な違いは見られなかった。KYT前後の確認行動の変化については、H22年度に引き続き解析を行っていく。
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