本研究では、「看護ベンチャー」を必要とする将来の少子高齢化社会の実態に着目し、看護師のベンチャースピリッツと起業知識を育成する教育プログラムを看護教育に取り入れるための調査を平成20年度に引き続き実施した。平成21年度は、女性起業家あるいはベンチャー起業家へのインタビューを更に分析し、マネジメントやアントレプレナーシップ等の能力開発、各大学のMOTカリキュラムを分析し具体的な看護ベンチャー教育カリキュラムについての検討から成果が得られたので報告する。 女性企業家あるいはベンチャー起業家へのインタビューからは、特にアントレプレナーシップは強くあるが、資金をどのようにして獲得するかが困難であったことがわかった。その後、公的機関からの支援やビジネスコンテストの存在を知り、公的機関と関わることで社会的な信頼を得ることができ、その後の資金の獲得や融資につながっていた。このような公的機関からの支援は、特に初めて起業する女性や若手にとって社会的信用を得るために有利に働いていることがわかった。 そのため、女性が起業したりアントレプレナーシップを持つ若手の起業家に対する教育では、看護ベンチャー教育プログラムの中に、公的機関からの支援の情報や新しいベンチャーコンテストの用意と参加などを組み込んでいくことが重要である。このような公的機関と連携したビジネスモデルを構築しながら、教育プログラムの科目設定を行っていくことが次の段階であるといえる。 今後、岡山大学病院など看護職者の継続教育に位置付けられているキャリアパス構築の講義などを研究者自身が実施することが決まっている。現実の看護職者のキャリアパスとして新たな段階へ向けて意義のある調査であった。
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