研究概要 |
平成21年度は、急性心筋梗塞を発症し、生命維持装置(大動脈バルンパピング)装着中の患者に対し、コルカバのcomfort理論を基にしたcomfortのタイプ、comfortとなる状況より、sense, relief, ease, transcendenceの4つの観点から作成したcomfortのマトリックスを応用し、看護師が行う全身清拭の前・後のストレス測定を行った。生理学的ストレス測定には、加速度脈派とHRVを用いた。 現在19名の患者のデータ収集を終了し、分析を行っているところである。対象患者の平均年齢は59(46~70)歳、疾患名は急性心筋梗塞、タコつぼ心筋症、救急搬送時の意識消失者はいなかった。血清酵素値のpeak outからケアまでの時間は、平均12.33(7.42~17.5)時間、ケア実施時間平均は、33.75(25~45)分である。清潔ケア中に拡張期血圧が20mmHg以上変動した事例は、4例であった。 また清潔ケアを行う看護師と清潔ケアを受けた患者へのインタビューを行い、それぞれの体験を質的分析により明らかにすることを試みている。現在まで看護師6名、患者3名のインタビューを終了している。ケア後の看護師の語りから、看護師が認識するcomfort careの根拠として、「患者は突然死の恐怖に直面し、疲労し、眠りたいと思っている」「発症の苦痛の中にいて、日常性を取り戻せていない」「患者は突然の発症で、体験を誰かに話したいと思っている」などのカテゴリが得られた。一方患者は、「苦痛や疑問を思いついたり、発言したりできる状態ではない」「気持ちよかったかといわれ、気持ちよかったと答えた」「何が起きているのか、今後何をされるのかたまらなく不安だった」などのカテゴリが得られている。 引き続きデータ収集と分析を行う。
|