研究分担者 |
川本 利恵子 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40144969)
中尾 久子 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164127)
久保 千春 九州大学, 大学病院, 教授 (80117100)
宮園 真美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (10432907)
真茅 みゆき 北海道大学, 大学院・医学研究院, 客員研究員 (60415552)
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研究概要 |
今年度はICDに対する信頼感と伴に多くの不安も抱えているICD患者における長期経過観察中のQOLや予後を改善することを目的とし、心身医学的手法を用いた看護ケアモデルの開発と症例を増やすために東京都立広尾病院との共同研究を開始した。まず、看護ケアモデルを検討するために外来通院中のICD患者40名(女11, 57±20歳)を対象とし平均5.5年間,心身両面の治療と看護介入を行った.主な基礎心疾患は陳旧性心筋梗塞30%,心筋症30%であった.QOL質問票(SF8),ベックの抑うつ尺度,ICD作動に関連した「出来事インパクト尺度」,日本版STAIを用いて調査・介入をおこなった.また,19名には同様の手法を用いた看護介入を3-6ヶ月おきに2-3回行った.この結果、女性患者ではICD作動に対する不安が有意に強く見られた.また,高齢者においては社会的活動が妨げられており,自己許容範囲内で満足する状況が有意に高かった.重症基礎心疾患ほどICDによる不便さに関しては許容度が高く,無力感が大きかった.経過が長い症例ほど日常生活が障害され,興味の喪失,焦燥感が強く,危険からの回避が見られた.植込み後の期間が短いほど,ICDに対する信頼感が強く,満足した生活が送れていた.また,うつや心的外傷後ストレス障害が50%にみられ,複数の看護介入で精神的、身体的健康度の変化は見られなかったが、うつや不安、心的外傷後ストレス障害は改善した.ICD患者においては心身両面の看護ケアを行うことにより,うつや不安,心的外傷後ストレス障害を改善することができ,ひいては生命予後の改善に繋がることが期待できる.平成22年度、新たに研究連携機関となった都立広尾病院で140名のICD患者に同様の調査を行い解析を行ってゆく予定である。
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