研究分担者 |
川本 利恵子 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40144969)
中尾 久子 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164127)
久保 千春 九州大学, 大学病院, 教授 (80117100)
宮園 真美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (10432907)
眞茅 みゆき 北海道大学, 大学院・医学研究院, 客員研究員 (60415552)
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研究概要 |
最終年度として新たに研究連携機関となった都立広尾病院でICD患者における長期経過観察中のQOLや予後を改善することを目的とし、心身医学的手法を用いた看護ケアモデルの普遍性を強化するために共同研究を開始した。 【対象と方法】都立広尾病院において外来経過観察されている139名のICD患者にQOL質問票(SF8),ベックの抑うつ尺度,ICD作動に関連した「出来事インパクト尺度」,日本版STAIを用いて横断的に調査を行い、九州大学病院の症例40例とあわせて179例の解析を行った。ICD植込患者のQOL低下と心理的葛藤の予測因子における男女差を検討するために臨床背景データ、アンケート調査項目に対して重回帰分析をおこなった。 【結果】179例中、女性は34例で平均年齢は女性が若かった。女性にはβ遮断薬の投与例が少なく、女性のSF8におけるQOLの身体的健康度は男性より低く(男:47.6 vs.女:44.0,P=0.024)、ICD作動に関連した出来事インパクト尺度は高く(男:31.0 vs.女:40.6,P=0.008)、うつの程度も男性より高い指標(男:5.8 vs.女:9.3,P=0.019)であった。重回帰分析の結果、男性においては、うつはQOL低下の強い予測因子となるが(β-coefficient=-8.52,P<0.001)、女性ではそうではなかった。また、男性に於いては植込み型除細動器の作動歴がQOL低下やうつと関連していた。一方、女性に於いては喫煙(β-coefficient=-12.39,P=0.006)、心不全の既往(β-coefficient=-7.28,P=0.001)がQOLの低下と強い関連が見られた。 【結語】ICD患者においては心的な障害を合併しており、その障害の程度には男女差があることが明確となった。今後、心身両面の看護ケアを行うに際し、この性差を考慮することが重要である。
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