研究概要 |
家族機能の予測因子・影響因子を明らかにするためにPubMedを検索し,2,066本の家族機能尺度を用いた原著論文を検討し,合計43項目を抽出した.また,ひとり親家族を対象として,半構成面接と質問紙調査(法橋らが開発したFFFS日本語版を使用)のミックス法による家族機能の評価を行うことで,次年度以降の研究に向けて家族機能の包括的なアセスメント方法を構築した.次に,就学前の子どもをもつ家族を対象として,家族機能尺度のFFFS日本語版とSFE日本語版(法橋らが開発)を使用した質問紙調査を実施し,父親(夫)と母親(妻)のペアデータを分析した(FFFSは263家族,SFEは1,751家族).家族機能得点を高低群に分け,2群間で家族の属性を検討した結果,家族の発達段階と病人の有無において有意差が認められた.SEMを用いて夫と妻の得点から潜在変数である家族ユニットの家族機能レベルを示すモデルを検討し,適合度の高いモデルを試作した(χ二乗=5,834,CFI=0.989,NFI=0.984,RMSEA=0.086).次に,FFFSの夫と妻の家族機能得点の乖離を検討した.乖離が大きかった項目は,家族と家族員との関係の項目が多く,乖離が小さかった項目は家族と知人や身内との関係の項目が多かった,また,夫と妻の間の乖離が大きい家族を2タイプ(夫が高機能・妻が低機能,夫が低機能・妻が高機能)に分け,家族の属性を検討したところ,子どもの平均年齢と夫の年齢に有意差が認められた.夫と妻の間の乖離度を従属変数,家族の属性を独立変数とした重回帰分析の結果,病人の有無(β=3.791),妊娠先行型か否か(β=3.661),子どもの数(β=-3.65),子どもの平均年齢(β=1.056),家庭の収入(β=0.003)が夫婦の乖離度に影響していた(調整済みR二乗=45%,p<0.001).
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