本研究の目的は、高齢者の睡眠覚醒障害に対する生活方法の提案を意図し、看護の観点である生活リズムの調整、すなわち活動と休息の適正化を目指した看護介入プログラムの開発である。 前年度までに、地域在住の活動的な高齢者の日常生活の特徴として、定期的な運動習慣を有するものが多く、日常生活行動は自立し趣味や菜園作りなど活発に活動していること、そのような高齢者の夜間の睡眠の特徴としては、夜間の覚醒回数が1回以上の人がほとんどであったこと、再入眠の状況については個人差がわかった。また飲酒習慣がある高齢者では飲酒量と入眠までの時間と睡眠の質を示す睡眠効率との間に関連があることがわかった。また日内活動の調整の観点から日中の活動状況を分析すると、昼寝習慣の有無や所用時間に個人差がみられた。昼寝時間が夜間の睡眠の質に関連していると考え調べたところ、夜間のトイレ回数が多い人は少ない人に比べ有意に昼寝時間が長いことが明らかになった。これらの成果をふまえて高齢者の睡眠の質を高めるための看護を検討した。そのためには、日中の活動内容を十分に把握し、どのような活動の特徴を持っているか、夜間の睡眠の質に関係する夜間排尿の状況と再入眠の状態、飲酒習慣とその量や主睡眠までの状態を評価することが重要である。さらに昼寝習慣のみならず、昼寝時間の長さ、および夜間の覚醒回数を関連して観察し、さらに夜間の覚醒している理由について、排尿なのか、それ以外なのかを把握し看護する必要があると考えられた。しかしながら、高齢者の睡眠の質に関連する生活習慣や要因の出現には個人差が大きいため、一律化することよりむしろ、個別性の高いケアの必要性が高く、その充実を図ること、すなわちアセスメント項目や生活リズムの調整方法の選択肢の充実のが看護プログラムを開発する上で重要性であると示唆された。
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