研究概要 |
精神看護においてコミュニケーション技術は,情報収集だけでなく治療的意味をも含むため,大変重要な技術である。効果的なコミュニケーション技術には,メッセージを適切に受信・処理する技能が必要であるが,その技能の詳細は不明である。そこで,本研究では,発信されたメッセージの受信・処理技能について,精神科看護師と学生や他科の看護師を比較することによって,精神看護に必要な技能の特徴を明らかにすることを目的とする。具体的には,メッセージが発信されるいくつかの場面を映像に収め,調査対象にその映像を見てもらい,受信した視覚情報と聴覚情報,およびそれらの処理結果について回答を得るものである。本年度は,この調査の準備として,映像の作成を行った。いくつかメッセージ発信場面のシナリオを作成し,検討を重ねて次の4場面に絞り込み,実際に映像に収録するまでを実施した。 (1)不安を訴えるが,感情表出が少なく,言語的にその不安は表現されない場面 (2)不安を語っているが,反動形成により明るく穏やかな調子で話をする場面 (3)不安と恐怖をうちに秘めており,それが怒りに転換されて,看護に怒鳴る場面 (4)妻の病状について夫が代弁をするが,それが妻の訴えとは反する場面 これらの場面が,コミュニケーションの受信・処理技能を測定するのに適切な場面であるあるかどうかはまだ検討されていない。しかし,検討を重ね,映像による技能測定が可能となれば,これまで困難であったコミュニケーション技術の測定が可能となり,技術評価や具術教育において大いに役立つであろう。
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