(目的) 安心できる在宅療養を送るためには、在宅療養者とその家族に対する被災予防と災害が起こった場合の対処方法の準備が必要とされる。このことは在宅療養者や家族の課題だけでなく、彼らの居住地域である市町村や危機管理を担当する保健所の課題でもある。そこで、茨城県A保健所管内の市町村にある訪問看護ステーションの利用者である、慢性疾患がある、あるいは身体障害のある成人、高齢者を研究対象者として、地震の時に災害時要援護者となる在宅療養者および家族への被災予防教育と被災の準備、地震時の避難救出を助けるための準備練習について研究を進める。本研究は災害時要援護者を、訪問看護ステーション、市町村、保健所を中心とした地域ケアシステムで避難支援するための一助になることを目的とする。 (実施) 1.茨城県内12保健所および44市町村の担当者に災害時要援護者の避難支援計画について質問紙調査を行った。保健所は8保健所から、市町村は22市町村から回答があった。 2.避難支援の対象者は訪問看護ステーションより紹介を受け、災害時要援護者となる在宅療養者および家族で避難支援を希望するものを対象者に、今までの面接調査および質問紙調査の結果および文献を参考に、避難方法について多職種間で検討し実施した。研究者は家族および近隣の人たちと災害時要援護者の避難を支援し5家族の避難を行った。実施に際して対象者より同意を得てDVDを作成し、県内の保健所、市町村、訪問看護ステーションに配布予定である。 避難支援を行った要援護者及び家族からは好評で、在宅療養者でも自分に適した避難を行うことで安心でき、日頃の準備が重要であることが、関係者を含めて合意できた。 3.A保健所の担当保健師およびA保健所管内の市町村保健師、訪問看護ステーション管理者と1~2の結果について、地域ケアシステムとして意見交換を行った。
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