1. 研究の目的心理的負担が高いとされる認知症高齢者を介護する家族に対し、構造化された心理教育プログラムが有効であるかを厳密に評価する 今年度は、考案したプログラムの内容が、対象者の特性及びニーズにあっているのか、運営上の問題がないかを明らかにするためにプレテストとしてプログラムの実施及び評価を行ったので以下に報告する。 2. 対象と方法 1) 対象者在宅で認知症高齢者を介護している主介護者5名(うち全プログラムに参加した主介護者4名を分析の対象とした)。 2) 方法考案したプログラを実施し、参加者の感情気分の変化を測定した。また、プログラム実施にはケアマネージャーも参加観察し、プログラムに対する評価を得た。 3. 結果および考察 POMS気分スケールの結果は、緊張-不安、抑うつ-落ち込み、怒り-敵意、疲労、混乱といったネガティブな感情を測定する尺度に対する得点は下降し、活気といったポジティブな感情を測定する尺度に対する得点は上昇する傾向があった。 また、参加家族は、家族教室への参加におおむね満足を示し、運用上の問題は認めなかった。プログラムの教育的内容、および家族同士の検討が家族介護者にとって有効であり、情緒の安定をもたらしたと考えられた。 さらに、教室を参加観察した施設職員からもプログラムの内容は家族のニーズにあっているものだという評価を得た。 今後は症例数を増やしRCTの手法でもってより厳密に評価することが課題である。
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