先行研究で明らかにした立位バランスや転倒に影響する足部の問題に対し、有効性が期待できるフットケアを実施し、効果の検証と介護予防への有効性を検討した。 研究対象は介護予防の強化が必要な生きがいデイサービスに通所する高齢者11名であった。対象の足部の実態に即したフットケアを週1〜2回6週間実施した。ケアの効果は、介入前後における基本属性、足部の形態・機能、立位・歩行機能の変化という直接的アウトカムとケアを受けたことにより生じた認知・心理・行動の変化という副次的アウトカムにより検討した。直接的アウトカムは自己対照デザインによる統計学的分析を行い、副次的効果は介入期間終了後に実施したインタビューを内容分析した。 直接的効果については、高齢者が日常的に自覚している足部の変調のうち、下肢の血流や筋肉疲労に関する項目が消失あるいは改善した。また、足底部の皮膚の問題も改善がみられた。足部の末梢血流量には有意な改善はみられなかったが、足底部の皮膚温度は有意に上昇していた。加えて、立位バランスに影響するといわれている機械受容器が密集する足底部の触圧覚も有意な閾値低下がみられた。これらの結果が相互に作用し、介護予防の第一義的課題である立位・歩行機能がすべての項目において向上していた。副次的効果では、足部への関心の向上と大切さの認識、日常生活における活動性の向上と自信の獲得、活動範囲の拡大、セルフケアへの意思の芽生え等が抽出された。対象は閉じこもり防止を目的とした生きがいデイサービスに通所しており、この目的を達成する結果であった。 以上の結果からフットケアは介護予防に有効であることが示唆された。本研究成果は継続研究の基礎的知見となり、介護予防の方法論を構築するものであると考える。
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