前年度にはフットケアが立位バランス能力を高め、介護予防行動にもつながるという知見を得た。今年度は高齢者自身にセルフケア方法を指導し、ケア方法習得のプロセスを明らかにするとともにセルフケアによる効果を検証することを目的とした。 研究対象は介護予防の強化が必要な生きがいデイサービスに通所する高齢者8名であった。指導介入は毎週1回12週間とし、それ以外に週1回12週間自宅でのセルフケアを依頼した。ケア方法取得のプロセスは指導介入日の会話の録音をデータとし、ケアの効果は、介入前後における基本属性、足部の形態・機能、立位・歩行能力の個別的変化および全体的変化を検討した。ケア方法習得のプロセスは各介入日ごとにMayringの内容分析を行い、介入内容とセルフケアの状況を抽出した。ケアの効果は介入前、介入6週間後、介入12週間後(介入終了後)における変化を個別的に検討し、さらに全体的な変化は統計学的分析を行った。 以上の結果、ケア方法習得のプロセスでは、介入初旬、介入前半、介入中盤、介入後半、介入全体の各時期における介入の特徴と要点とその変化が明らかとなった。また、介入当初は研究者-対象者間の介入であったものが対象者-対象者間の介入に変化していくことや介入の量がケアの進行とともに徐々に減少し、最終的にはセルフケアの実施にいたることが明らかとなった。さらに、ケアの効果では、介入前から6週間までに著しく改善する項目や12週間かけて改善する項目など、測定項目により改善の相違がみられた。 今後はセルフケアのケア方法習得のプロセスの特徴から介入プログラムを作成し、介入者のための教育プログラムの構築を目指して研究を継続する予定である。
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