乳児期初期の大脳皮質の自発活動にみられるネットワーク構造の発達 睡眠中の乳児において、近赤外分光法(光トポグラフィ)で計測した大脳皮質の自発活動のデータについて、昨年度に引き続きさらに詳細な解析を行った結果、脳領域に応じて、発達にともなう機能的相関の強さが(a)増加(b)減少(c)U字型の3つのパターンで変化することを発見した。また、成人において、安静時の自発活動を同様に計測し、コヒーレンス解析により周波数に依存したネットワーク構造を見いだした。 大脳皮質の機能的発達における領域固有性とU字型変化 覚醒した2ヶ月児および3ヶ月児の大脳皮質の視聴覚刺激に対する応答のデータを、加算手法だけでなく一般線形化モデルを用いた解析で再検討した結果、大域的な応答から局所的な応答へという変化が確かめられた。その他、3ヶ月児において、視聴覚統合や言語処理等に関わる複数の課題についての計測やデータ解析を行い、いずれも領域に応じた機能的活動を見いだした。さらに、乳児の行動でU字型変化を示す例として知られている、両耳音声刺激における先行効果が生後4ヶ月児に見られることを示す予備的な行動データを得た。 環境との相互作用を通じた学習と行動 生後2~4ヶ月の乳児の自発運動に関して、ほぼ1週間ごとの縦断的な計測を行い、運動単位の分布にはあまり変化がないが、四肢間の相関には、発達にともなう変動があることを見いだした。また同じ乳児らで、睡眠の特徴とその発達を定量化するために、家族による日誌と携帯型小型加速度計を用いた運動量の日内変動に関する縦断的なデータを得た。また、生後3ヶ月から1歳の乳児を対象とし、視聴覚統合、模倣行動、記憶等に関連する視覚刺激を注視している間の視線をアイトラッカーで計測する予備的な実験を行った。
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