研究課題
・fMRIによる成人の安静時脳活動を分析した結果、皮質及び視床を含む皮質下の機能的ネットワークで、ハブとなる領域が周波数に依存して異なることがわかった。睡眠時の3ヶ月児の脳活動を近赤外分光法で測定し、聴覚刺激への位相反応応答を調べた結果、自発活動が脳領域に応じて異なるパターンの位相応答を示した。NICUの早産児において、40週齢前後で近赤外分光法による睡眠時脳活動を測定し、機能的ネットワークの分析を行った結果、短距離及び左右半球相同部位間により強い結合が見られ、ダウン症児において全般的に結合強度が小さいことがわかった。・3ヶ月児において、モビール課題による学習前後の睡眠時の脳の自発活動を近赤外分光法で計測した。動睡眠時と静睡眠時とで機能的結合の強度が異なり、睡眠状態に応じて学習の効果を分析する必要性が示唆された。モビール課題の前後での唾液アミラーゼの濃度変化について予備的結果を得た。・3ヶ月児の覚醒時の近赤外分光法による計測により、言語の音韻的特徴の違いに左半球側頭領域がより強い反応を示すことがわかった。乳幼児の音声から逆推定した調音器官の運動発達が、言語音の生成順序と関連していることを見いだした。・3歳児までに脳性麻痺と診断された早産児において、40週齢前後での自発運動の特徴を分析したところ、運動のぎこちなさを示すジャークの指標が高値であった。・寝返り運動の分析、モビール課題中の運動の分析を行い、発達における運動の多様性の変化の過程が明らかになった。・行為者の視聴覚映像を注視している乳児の視線をアイトラッカーで計測したところ、4ヶ月から7ヶ月齢の間に、行為者の顔の参照が増加することを見いだした。以上のように、脳の機能的ネットワークの初期発達、睡眠時の脳活動、言語知覚における領域固有性、調音運動の発達、新生児期の自発運動と長期的発達予後等について、新たな知見が得られた。
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