研究課題
本研究課題では、神経情報を受容するシナプス近傍における樹状突起が、神経情報の統合をいかなるシグナリングのクロストークによって実践しているのか、さらに、そのような「場」を提供する樹状突起の形態が、神経情報によっていかに修飾・維持されているかについて、徹底的に解明していこうとするものである。本年度は、5年計画の4年目で次のような成果を得た。樹状突起形態制御因子であるCaMKIγのノックアウト動物の解析を本格化し、BDNF刺激の下流での選択的カルシウムシグナルについて新たな知見を得、さらにCaMKIgamma基質の一つを同定している。synapse-to-soma signaling機構の解明については、SARE配列のモジュラー構造に着目し、多彩なシグナル入力の実体を突きとめるとともに、Arcがschema学習における各種脳部位活性化の指標として有効であることを示した。soma-to-synapse signaling機構については、細胞体で翻訳されたArc遺伝子産物がシナプスにターゲットされる過程を可視化することに成功した。またin vivo脳機能修飾法としてAAVウィルス調整法のさらなる改良を実施した。上記の成果の一部は、Tse et al.としてScience誌に掲載され、またOkuno et al.としてCell誌に掲載確定している。
1: 当初の計画以上に進展している
Arc遺伝子産物の機能を新たに同定するとともに、BDNF依存的樹状突起形成の分子機構の一端を解明しつつある。
最終年度にこれまでの成果を可能な限り多くの論文にまとめる方針である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (17件)
Cell Biochem.Funct.
巻: (未定)(掲載確定)(印刷中)
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