本研究では、神経発生、神経機能調節における小胞膜輸送システムの関与およびその分子機構を明らかにすることを目的としている。特に神経細胞の分化、移動、構築、機能制御に焦点を当て、膜シャペロンタンパク質FKBP38と膜輸送制御タンパク質Protrudinの複合体、即ち"FKBP38-Protrudin複合体"による制御機構を解明している。そして、それらの機構のヒトの二分脊椎などの神経形成不全や遺伝性痙性対麻痺などの神経疾患の病因への関与を解明し、さらに治療への応用を目指している。 本年度は、ノックアウトマウスを用いた解析を中心に行った。 マウス脳組織より脂質を抽出し、Protrudin結合脂質をスルファチドを含めて同定を試みた。結合脂質の神経・グリア接着促進機能や、神経軸索上ドメイン形成への関与を解析した。 Protrudinノックアウトマウスを作製した。そのマウスを用い、神経細胞における膜輸送の異常、脂質分布の異常、神経疾患の発症、神経・グリア接着の異常、電気生理学的異常などについて解析した。そして膜輸送制御の神経疾患との関連を解析した。
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