研究課題
質量顕微鏡法で正常脳のオミックス解析を行い、多くの生体物質の組織分布を同時可視化した。まず、昨年度手法を確立し報告した(Yao et al., Proteomics2008)最も高分子側であるプロテオミクス領域ではさらなるピークの同定や解釈、特に翻訳後修飾による多義性の分析を進めている。まず脳で最も多い蛋白質チュブリンをモデルとした解析を進め、チュブリンのチロシン化修飾ならびにグリシン化修飾について解明し(Konishi et al., Nat Neurosci2009;Ikegami et al., FEBS Letters2009)た上で、それらの酵素のノックアウトマウスの質量顕微鏡法による観察を行っている。中分子領域ではピークの同定と解釈に成功し、これらの多くが脂質分子種であることを確定し(Sugiura et al., J Lipid Res2009 ; Hayasaka et al., Lipids2009)脳神経分野の新しい研究である多次元リピドミクスの分野を創出したといえる。現在、さらに低分子側のメタボロミクス領域についての質量顕微鏡による知見を集積している。これらオミックス解析をもとに、神経刺激に依存した生体物質の分布変化、脳損傷モデルや神経異常症状を持つチュブリン異常マウスにおける脳内の物質異常について解析を進めている。これらの一連の研究により多次元オミックス解剖法を確立し、世界で最初の英文の教科書をチーフエディターとしてシュプリンガー社より出版、多くのレビューを依頼され執筆した。日本語においても時空間的生命現象解析の新技術についての実験医学の特集号を代表企画編集した。以上の成果を日本ならびに米国での神経科学会、細胞生物学会をはじめとする多くの学会で発表、ハーバード大学医学部やゴードン会議、タイ解剖学会基調講演など40件以上の国内外の招待講演を行った。細胞生物学会の最優秀発表賞ならびに臨床分子形態学会奨励賞を受賞した。
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