研究課題
本研究は、低次元金属材料中の低エネルギー(赤外)プラズモンについて、光・電子の両プローブ法を用いて計測し、原子スケール、ナノスケール物質の電磁応答特性を解明する。今年度はサブミクロンスケールのナノロッドによる赤外アンテナの研究も行いながら、超高真空中蒸着による原子スケールワイヤーにも研究対象を拡張し、それらの赤外吸収分光による研究を進めた。まず、原子鎖構造の低エネルギー光学応答特性を計測するために、高感度な超高真空赤外吸収分光装置を用いて吸収スペクトルの測定を行った。1nm幅を持った金属ワイヤーをシリコン表面に作成し、ワイヤー平行方向の偏光測定の場合に中赤外帯域に強くブロードな吸収を持つスペクトルを観測した。また、金属原子ワイヤー(インジウムワイヤー)がパイエルス転移を生じる際の実験も行いシグナル変化を検出した。続いて、溶液中のプラズモン増強赤外吸収材料の研究を進めた。金ナノ構造の形状に応じて水のOH振動と低エネルギー電子励起とが強く混成し、スペクトル形状がFano共鳴スペクトルの様相を呈することを見出した。この金ナノ構造について、電磁場シミュレーションを行い、スペクトルとシグナル増強を生じるナノ構造の条件とそのメカニズムを解明した。また、リモートセンシングへの応用が可能な増強材料の製作にも着手した。これらの成果に関連して、SPIE Photonics West 2010、ICFSI-12などの4つの国際会議、シリコンフォトニクス研究会、企業(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)など5つの国内講演会における、計9件の招待講演を行った。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (9件)
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