研究課題
本研究は、低次元金属材料中の低エネルギー(赤外)プラズモンについて、光・電子の両プローブ法を用いて計測し、原子スケール、ナノスケール物質の電磁応答特性を解明する。まず、インターファクタンとエピタクシーの方法を用いて20nm程度の厚さを持つAgのナノディスクを製作し、その製作条件を変えながらディスクのサイズを変化させて赤外スペクトルを測定した。この結果を、これまでのEELS実験と比較し、ナノディスクのアンテナ共鳴とEELS法で測定した伝搬型プラズモンとの対応関係を明らかにした。同様にInの原子ワイヤーの長さを制御し、それに対応する赤外分光のデータを系統的に測定した。この結果をやはり同様にEELS法による過去の結果と比較し、1次元プラズモンの定在波プラズモンポラリトンとして理解できることを見出した。続いて、スペイン、ドイツの海外協同研究者との共同でナノロッドアンテナ間の距離を系統的に変化させながらナノロッド間の相互作用が共鳴周波数と近接場にあたえる影響を調べ、ナノアンテナを増強赤外吸収に用いる際の設計指針を構築した。また、ナノギャップアンテナをナノロッドと収束イオンビーム加工により、またナノアイランドの溶液中成長の方法で作製し、それぞれの場合のナノギャップ近傍の微細構造が赤外光学特性に与える影響を明らかにした。また、後者のナノギャップアイランドは十分実用に耐える増強度を示したため、実際の医療診断などで検出される血液中の病原たんぱくをDNAアプタセンシング法にて検出を試み、十分高感度で検出できた。今後は、感度のみならず、検体への選択性を如何にして向上し、実際の診断に近い状態でに検査を実現してゆくかが課題である。
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