研究課題/領域番号 |
20672001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
勝又 直也 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (10378820)
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キーワード | ユダヤ学 / ユダヤ教 / マイノリティ / 中東 / 比較宗教学 / ヘブライ語 / ヘブライ文学 / イスラエル |
研究概要 |
他者からはマイノリティであったユダヤ教が、「内なる種々のマイノリティに対してどのような区別・差別をしてきたのか」また「他者であるマジョリティに対してどのような態度をとってきたのか」について様々な時代、地域、ジャンルのユダヤ教文献から渉猟し、その言説をデータベース化するという本研究の主旨のもと、23年度は以下の研究成果をあげた。1.ユダヤ教文献の中核を占めるラビ・ユダヤ教時代文献からのデータ充実とほぼ完成。中でもユダヤ教の宗教議論の中心となる法的(ハラハー)分野の主要な文書であるミシュナ、トセフタからのデータの収拾、入力はほぼ完成した。非法的(アガダー)分野の言説の収集は進んだが、完成までにはもう一息である。2.近現代文学については、ユダヤ現代文学の専門家が特定研究員として研究に従事したので、特に、ビアリクの詩文を中心にデータの収拾、入力が進んでいる。3.検索語の整備。これまで幅広く検索語を設定していたために、データ入力に膨大な時間をとっていたので、検索語を整備し、最重要なものに絞ることになった。例えば、嫁いだ女性、離縁された女性、独身の女性、などは、「女性」でまとめた。4.他者であるマジョリティとの関係については、イスラム時代のユダヤ人詩人の詩作の写本からの校訂本がほぼ完成し、その中で、ユダヤ文学と当時のマジョリティであるイスラーム文学との関係を論じた。5情報発信:研究成果の一部を第70回日本宗教学会で発表した。また、4で言及した著書の出版が進んでいる。これは、英語文献として発表されるもので、世界への発信として注目される。さらに本プロジェクトのホームページでのコラムを通して、広く市民に研究成果を広めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユダヤ教文献の中核となるラビ・ユダヤ教文献でのデータ収集は、おおむね順調に進んでいる。しかし、文献量が膨大で、ユダヤ教文献の特徴上、区切りがつかないことが多くデータのピックアップに悩むこと、また、検索語の選定にも悩まされるために、計画以上の進展は難しい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ラビ・ユダヤ教文献からのデータを完成、最終チェックをする。また、ラビ・ユダヤ教文献の中でのマイノリティについての議論をまとめたモノグラフを出版し、一つの成果としたい。中世時代の文献からのデータも今年は入れるが、特に重要なマイモニデスらに絞って入れことで、より確実な成果を出したい。
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