研究概要 |
昨年度までの研究に引き続き,志村多様体の数論幾何学およびそれに関連した幾何学,ガロア表現保型表現の研究を行い,研究を進展させた.本年度得られた主な成果は次の2点である.(1)数論幾何的手法と保型表現論的手法を組み合わせることで,大域体上のGL(2)の保型L関数の関数等式の中心での位数に関する結果を得て,7月に台湾で行われた国際研究集会で発表した(千田雅隆氏(京都大学)との共同研究).(2)4次シンプレクティック群GSp(4)の志村多様体およびその局所版であるラポポート-ジンク空間の研究を行い,超尖点的表現がコホモロジーに実現する様子についての結果を得て,9月に京都大学で行われた国際研究集会で発表した(三枝洋一氏(九州大学)との共同研究).これと並行して,「岩澤理論ミニ研究集会」(2010年4月,京都大学),ミニ研究集会「数論幾何とその周辺」(2010年7月,京都大学,玉川安騎男氏(京大数理研)と共同),国際研究集会「L関数の特殊値と数論幾何」(2010年10月,京都府美山町,千田雅隆氏と共同)を主催した.また,7月末に大学院生・若手研究者を対象とした「GL(n)の保型表現論夏の学校」を主催し,保型表現論に関する将来の研究の土壌を整備した,これらの研究集会には,志村多様体・ガロア表現・保型表現の分野において世界的に活発な研究を行っている国内外の若手研究者を多数招聘し,参加者間で本研究課題に関する問題意識を共有することができた,そして,若手研究者同士の学術的交流を推進し,関連する他分野の研究者とも積極的な情報交換・議論を行うことで,既成の分野の枠にとらわれない総合的研究を推進することができた
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