研究概要 |
本研究計画の最終年度である本年度は,昨年度までの研究に引き続き志村多様体の数論幾何やガロア表現に関する研究を進めた.昨年度までの研究で4次シンプレクティック群GSp(4)および3変数ユニタリ群GU(3)のラポポート-ジンク空間に超尖点的表現が実現される様子が分かってきたので,本年度は,より一般のラポポート-ジンク空間のコホモロジーの研究を進めた.今までに知られていた結果や,LパケットやAパケットに関する種々の予想・定理,実リー群の表現論における類似などを総合的に考察することで,粗い形の予想を定式化することができた.これはまだ精密化の余地があり,今後,正しい予想を定式化し証明することは重要な課題である.また,本研究計画の集大成として2012年7月に国際研究集会「Workshop on the arithmetic geometry of Shimura varieties, representation theory, and related topics」を開催し,数論幾何や表現論関連分野で国内外で活躍している若手研究者を多数招聘した.局所ラングランズ対応の精密化やガロア表現の構成,志村多様体の整モデルのTate予想への応用など,最先端の研究テーマについて研究打ち合わせを行った.また,2012年4月に京都大学数学教室でミニ研究集会「数論幾何とその周辺」を,2012年9月には大学院生・若手研究者を対象とした「GL(n)の保型表現論夏の学校」を行い,関連する他分野の研究者とも積極的な情報交換・議論を行った.
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