MRIは蛍光やPETなどのイメージング法と比較して感度が低い点が問題である。この問題をプローブデザインによって解決する為には、プローブ内の^<19>F数を増加させることが一番の近道である。しかし、単純に^<19>F数を増加させると、^<19>Fの疎水性のため血清蛋白質や脂質分子と相互作用しやすくなり、^<19>Fの分子運動が抑制される。この分子運動抑制の結果、T_2が短縮され^<19>F MRI信号は低下し感度はかせげない。高感度を保つためには、^<19>Fの運動性を確保しつつ、数多くの磁性的に単一の^<19>Fを増やす分子設計が必要不可欠である。 高感度かつ多様な機能化が可能な^<19>F MRI造影剤の開発するために、コア-シェル型のパーフルオロクラウンエーテル(PFCE)内包シリカナノ粒子を新たに考案した。コアとなるPFCEはPFCの一種で、化学シフトが等価なフッ素を20個有している。また、シェルを構成しているシリカ(SiO_2)は生体適合性が高く、有機溶媒・水溶液中・高温下でも高い分散性を示す。このためPFCE内包シリカナノ粒子は高感度なPFC内包ミセルの問題点を克服した^<19>F MRI造影剤であると考えた。 PFCE内包シリカナノ粒子は、PFCE内包ミセルを鋳型として表面でシリカ重合を行うことで合成した。作製したPFCE内包シリカナノ粒子を電子顕微鏡によって観察した結果、直径が約50nmのコア-シェル型ナノ粒子が生成していることが確認された。続いて、担癌マウスに尾静脈から投与し、^1H/^<19>F MRI撮像を行った。^<19>F MRI測定の結果、癌組織から非常に強い^<19>F MRI信号が観測された。一連の実験によって、PFCE内包シリカナノ粒子は水溶液中で安定かつナノ粒子表面に様々な機能性官能基を導入可能であり、in vivoにおいても十分な感度を有していることが示された。
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