ナノ・マイクロ共振子を非線形素子として高感度センサに利用するためには、その特異な非線形性の発現メカニズムを解明する必要がある。このため、ナノ・マイクロ共振子作製しその非線形を実験的に評価した。振動子に外部刺激を与えた時、確率共鳴を引き起こすセンサ構造を試作した。外部刺激による摂動が引き金となり、確率共鳴により振動振幅が変化するのを確認した。外部刺激として、外力、熱などの刺激を与え、高感度に検出することを試みた。これらの結果は、非線形振動子が高感度なセンサとして使えることを示す重要な知見である。複数の振動子を機械的あるいは電気的に結合させ、2つの振動子においてどのような、結合状態が得られることを確認した。機械的な非線形性を利用した2準位系を利用するには、非線形性に対する理解を深める必要がある。特に非線形ばねが正になったり、負になったりする原因が不明である。そこで、振動子の形状と非線形性との関連や、表面効果と非線形性との関連について調査した。その結果、振動子の寸法を変化させた時、非線形性パラメータが少しずつ変化するが、ある寸法で急激な遷移が起きるのを見出した。一方、振動子の振動を情報として利用し、その情報を正確に伝達するために、機械的振動の同期現象を利用することを試みた。共振周波数の比率が整数比である振動子を作製し、その周波数や位相を同期現象(引き込み)により制御できることを示した。一つの振動子を確率共鳴状態にするには、その周波数を整数比にチューニングする必要がある。そこで、振動子上に質量を付与し、共振周波数のチューニングを行った。磁性体を片方にもち、整数比の共振周波数で同期した振動子に磁気力を印加し、共振周波数変化して観測される磁気力信号が同期により増幅されることを示した。
|