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2011 年度 実績報告書

確率共鳴で動作するナノ機械によるセンシング

研究課題

研究課題/領域番号 20676001
研究機関東北大学

研究代表者

小野 崇人  東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90282095)

キーワード振動子 / 非線形性 / 確率共鳴 / 同期現象 / ナノ機械 / マイクロ電気機械 / 高感度センサ / 共振
研究概要

機械的な非線形マイクロ・ナノ振動子において、ノイズを与えたときの振動の確率共鳴現象を利用した高感度センサを開発する。
PZTからなる圧電体薄膜からなる駆動機能、検出機能を内蔵した振動子のアレイを作製した。確率共鳴型センサでは、確率共鳴を起こす周波数帯で駆動しなければならず、わずかでも周波数がずれてしまうと確率共鳴状態から外れてしまうのが問題である。そこで、わずかに共振周波数が異なる複数の振動子を並べ、必ずいくつかのセンサが確率共鳴状態になっていれば、前述したチューニングが不要になる。また、一個の確率共鳴型センサの出力は、デジタル的であり、実際の物理量を表わさないが、複数のセンサを同時に動作させ、その出力を平均化すると、アナログ信号になる。このようにして、ノイズ環境下でも高感度なセンシングが可能になると期待できる。複数のセンサからの信号を検出し、平均化する手法を開発し、試作した振動子アレイを用いて、その実証試験を行った。
振動子同士を機械的、あるいは電気的に接続して結合させる結合振動子について引き続き研究を進める。結合ビームのサイズを変えて、振動子の同期現象を測定する。結合ビームを介して結合した振動子は、その共振周波数近傍で、引き込みを起こし、振動周波数の比が整数比になることをこれまでに確認している。より、多くの振動子を結合させた系において、引き込みが起きる領域を調べ、結合状態を確認する。また、振動子をPZTにより、電気的に結合させた場合、同様の現象が見られるかどうかを調べた。
確率共鳴を起こすポテンシャル障壁を調べ、そのパラメータとセンサとしての応答速度の関係を調べた。共振周波数が高い方が、応答特度が早く、バルク振動波(BAW)を用いた振動型センサを設計、評価した。また、BAW振動子を非線形ばねで結合させた結合振動子について、センサとしてノイズレベルや同期現象などについて実験し、その物理的なモデルを確立した。
結合型センサを磁気共鳴力顕微鏡に応用するための、センサを設計、試作した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

人工的な感覚器に相当する確率共鳴型センサについての研究は遅れているが、生物細胞の揺らぎと結合させるセンサについては当初の計画以上に進んだ。総合的に見ておおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り研究を進めると同時に、より進展があった生物細胞との結合と揺らぎの検出について、新たな研究を展開する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ナノ計測を可能にするツール2012

    • 著者名/発表者名
      小野崇人
    • 雑誌名

      応用物理

      巻: 81 ページ: 45-50

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Modeling and Experimental Analysis on the Nonlinearity of Single Crystal Silicon Cantilevered Microstructures2011

    • 著者名/発表者名
      Yonggang Jiang, Masayoshi Esashi, Takahito Ono
    • 雑誌名

      電気学会論文誌E

      巻: 131 ページ: 195-196

    • DOI

      DOI:10.1541/ieejsms.131.195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Micro wishbone interferometer for Fourier transform infrared spectrometry2011

    • 著者名/発表者名
      Young-Min Lee, Masaya Toda, Masayoshi Esashi, Takahito Ono
    • 雑誌名

      Journal of Micromechanics and Microengineering

      巻: 21 ページ: 065039-1-065039-9

    • DOI

      10.1088/0960-1317/21/6/065039

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Design issues of piezoresistive nanocantilever sensors with non-uniform nanoscale doping profiles2011

    • 著者名/発表者名
      Yonggang Jiang, Masayoshi Esashi, Takahito Ono
    • 雑誌名

      電気学会論文誌E

      巻: 131 ページ: 270-271

    • DOI

      10.1541/ieejsms.131.270

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bimorph cantilevers actuated by focused laser from the side2011

    • 著者名/発表者名
      Masaya Toda, Naoki Inomata, Takahito Ono
    • 雑誌名

      電気学会論文誌E

      巻: 131 ページ: 327-331

    • DOI

      10.1541/ieejsms.131.327

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measurements of the phase transition and the average length of the density fluctuation under supercritical fluid using micromechanical resonators2011

    • 著者名/発表者名
      Masaya Toda, Takashi Fujii, Atsushi Yoshida, Toshiyuki Hashida, Takahito Ono
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 99 ページ: 074101-1-074101-3

    • DOI

      10.1063/1.3610942

    • 査読あり
  • [学会発表] Experimental and modeling analysis on entrainment condition of submicrometer thick Si micro mechanical resonators with nonlinear coupling element2012

    • 著者名/発表者名
      Keitaro Tanno, Yusuke Kawai, and Takahito Ono
    • 学会等名
      The 25th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS2010)
    • 発表場所
      Paris, France
    • 年月日
      2012-04-01
  • [学会発表] Vacuum-packaged Resonant Thermal Sensor for Biological Cell in liquid2011

    • 著者名/発表者名
      N.Inomata, M.Toda, T.Ono
    • 学会等名
      Microprocess and Nanotechnology Conference
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-10-25
  • [学会発表] Coupled mechanical Si resonators and its entrainment condition2011

    • 著者名/発表者名
      Keitaro Tanno, Takahito Ono
    • 学会等名
      Microprocess and Nanotechnology Conference
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-10-25
  • [学会発表] 結合機械的Si振動子とその同期条件2011

    • 著者名/発表者名
      丹野慶太朗, 小野崇人
    • 学会等名
      センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-09-26
  • [学会発表] 液中における細胞熱計測のための真空封止マイクロカンチレバー型熱量センサ2011

    • 著者名/発表者名
      猪股直生, 戸田雅也, 小野崇人
    • 学会等名
      センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-09-26
  • [図書] アクチュエータ-研究開発の最前線-,集積化マイクロステージ2011

    • 著者名/発表者名
      小野崇人
    • 総ページ数
      126-130
    • 出版者
      エヌティーエス出版

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公開日: 2013-06-26  

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