研究課題
機械的な非線形マイクロ・ナノ振動子において、ノイズを与えたときの振動の確率共鳴現象を利用した高感度センサを開発する。PZTからなる圧電体薄膜からなる駆動機能、検出機能を内蔵した振動子のアレイを作製した。確率共鳴型センサでは、確率共鳴を起こす周波数帯で駆動しなければならず、わずかでも周波数がずれてしまうと確率共鳴状態から外れてしまうのが問題である。そこで、わずかに共振周波数が異なる複数の振動子を並べ、必ずいくつかのセンサが確率共鳴状態になっていれば、前述したチューニングが不要になる。また、一個の確率共鳴型センサの出力は、デジタル的であり、実際の物理量を表わさないが、複数のセンサを同時に動作させ、その出力を平均化すると、アナログ信号になる。このようにして、ノイズ環境下でも高感度なセンシングが可能になると期待できる。複数のセンサからの信号を検出し、平均化する手法を開発し、試作した振動子アレイを用いて、その実証試験を行った。振動子同士を機械的、あるいは電気的に接続して結合させる結合振動子について引き続き研究を進める。結合ビームのサイズを変えて、振動子の同期現象を測定する。結合ビームを介して結合した振動子は、その共振周波数近傍で、引き込みを起こし、振動周波数の比が整数比になることをこれまでに確認している。より、多くの振動子を結合させた系において、引き込みが起きる領域を調べ、結合状態を確認する。また、振動子をPZTにより、電気的に結合させた場合、同様の現象が見られるかどうかを調べた。確率共鳴を起こすポテンシャル障壁を調べ、そのパラメータとセンサとしての応答速度の関係を調べた。共振周波数が高い方が、応答特度が早く、バルク振動波(BAW)を用いた振動型センサを設計、評価した。また、BAW振動子を非線形ばねで結合させた結合振動子について、センサとしてノイズレベルや同期現象などについて実験し、その物理的なモデルを確立した。結合型センサを磁気共鳴力顕微鏡に応用するための、センサを設計、試作した。
2: おおむね順調に進展している
人工的な感覚器に相当する確率共鳴型センサについての研究は遅れているが、生物細胞の揺らぎと結合させるセンサについては当初の計画以上に進んだ。総合的に見ておおむね順調に進展していると判断した。
当初の予定通り研究を進めると同時に、より進展があった生物細胞との結合と揺らぎの検出について、新たな研究を展開する。
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