研究概要 |
本研究では,耐熱性,耐久性,加工性に優れ,希少元素であるPtフリーの新しいガラス成形金型材料の探索と,その精密微細加工を目的としている.本年度は,以下の成果を得た. (1)ガラス成形金型に適したPtフリーの新しいアモルファス合金の探索 (1)スパッタ法による候補材料の成膜とその評価(継続) 昨年度までに探索した合金系の切削性をより効率的に探索するために,スパッタ成膜を利用した組成傾斜成膜により,候補合金系の組成傾斜膜を,50μm以上の厚膜として成膜して切削性評価ライブラリを製作することを試みた,検討の結果,切削性を評価するためには,ライブラリの中心から放射状に組成傾斜を有する薄膜を成膜する必要があることが明らかとなった.このような切削評価用薄膜ライブラリを実現するために,中心部と周辺部で組成の異なる組み合わせターゲットを製作し,所望の組成傾斜薄膜を成膜することに成功した. (2)添加元素の効果 候補材料の切削性,耐熱性,耐ガラス溶着性を一層向上させるために,添加元素の効果について検討した.そこで,Ni-Nb-Zr系の第三元素であるZrに特性の近いTiを添加し,Ni-Nb-Zr-Ti系とすることで,切削性,耐熱性,耐ガラス溶着性を向上させることができる可能性を見出した. (2)新測定法による候補材料の温度-時間変態線図の作成 21年度で検討した温度-時間変態線図(T.T.T.線図)、のコンビナトリアル測定方法をブラッシュアップし,テストとして温度-時間変態特性が既知であるPd_<77>Cu_6Si_<17>の温度時間変態線図の迅速測定に成功した.本手法により従来法に比べ20%以上測定に要する時間を削減することが出来た。さらに一つの基板上にサンプルを2つ集積化し,Ni_<62>Nb_<20>Zr_<18>とNi_<55>Nb_<20>Zr_<25>のT.T.T.線図迅速測定を実現した.
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