研究概要 |
本研究では,耐熱性,耐久性,加工性に優れ,希少元素であるPtフリーの新しいガラス成形金型材料の探索と,その精密微細加工を目的としている.本年度は,以下の成果を得た. (1)ガラス成形金型に適したPtフリーの新しいアモルファス合金の探索 昨年度までに探索した合金系の切削性をより効率的に探索するために,スパッタ成膜を利用した組成傾斜成膜により,候補合金系の組成傾斜膜を,50μm以上の厚膜として成膜して切削性評価ライブラリを製作した,この切削性評価ライブラリを切削加工により加工して,その表面粗さを評価することで,切削性を効率的に評価し,同時に,実際のガラス成形を模擬した条件で,溶融ガラスを滴下してガラスとの融着を生じないか確認実験を行うことで,ガラス成形金型に適した材料候補として,Ni_<35>Nb_<40>Zr_<25>を見出すことに成功した. (2)Ptフリーの新しいアモルファス合金のナノ成形によるクローン金型の実現 切削加工によるPt-Zr-Hf-Ni系アモルファス合金金型を,マスターとし,探索したガラス成形用Ptフリーアモルファス合金(Ni_<35>Nb_<40>Zr_<25>)のナノ成形を検討した。Ni_<35>Nb_<40>Zr_<25>が,ガラス転移を示すか確認することは出来なかったが,Txより10K程度低い温度で,約50MPaの成形応力でナノ成形に成功した.さらにNi_<35>Nb_<40>Zr_<25>の時間温度変態線図測定により,クローン金型成形のための十分な加熱時間,温度を得られる目処をつけることが出来たが,成形温度の高さによりPt-Zr-Hf-Ni系アモルファス合金をマスター金型に使用することは困難であることが判明し,マスター金型用材料の探索中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ptフリーの新しいガラス成形金型材料として,Ni_<35>Nb_<40>Zr_<25>を見出すことに成功し,そのナノ成形にも成功した.クローン金型の実現には当初予定していたPt-Zr-Hf-Ni系アモルファス合金の使用が困難であることが判明し,マスター金型材料の選定が必要になったが,既存材料も含めてコンビナトリアル手法も駆使して検討する.
|