本研究では開発したゼオライト膜の実用を可能にする初のガス分離膜の高性能化について見当を行った。 また、高いCO2分離性能を有しながらも、これまで未知であったDDR膜の透過メカニズムについて分子シミュレーションを実施し、分子レベルで透過機構の解明を試みた。5ヵ年計画の初年度に当たる20年度においては、分離膜を高性能化、大型化するために適した支持体の開発とその特性把握を中心に行った。 CO2透過速度を向上させるためには抵抗の少ない粗粒アルミナが必要であるが、緻密なゼオライト薄膜合成には小細孔径のアルミナ基材が必要となり、両者はトレードオフの関係である。そこで、中心基材と中間層と最表層とを持つ多層アルミナをコーティングすることで分離係数は保ったままCO2透過速度を向上させる三層アルミナ基材の開発を行った。さらに、分子シミュレーションにて多孔質アルミナにDDRを担持させた膜モデルを作成しCO2/CH4分離機構の分子論的解明を試みた。 また、日本の天然ガス田の調査を行い、実証実験を実施する際の実施場所、実験条件、用いる装置、計測方法などの検討を行った。 さらに、70気圧以上の高圧での実験が予想されたため、高圧で実験可能な基礎実験装置の製作を実施した。
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