植物はCO2を吸収し有機物を生産する。地球環境変化が植物に及ぼす影響は様々な学問領域で重要な疑問である。これまでの研究では、現生の植物の環境応答をもとに予測を行っているが、環境変化によって進化が引き起こされ、将来の植物は現生の植物とは異なる性質をもつかもしれない。 進化応答は世代をまたぐ時間が必要となるため、実験は容易ではない。本研究では、長期間高CO2環境にさらされてきたと考えられる、CO2噴出地周辺の植物の生理生態的特性や集団遺伝学的特性を解析し、高CO2環境への適応の有無を調べることを第一の目的とした。さらに、モデル植物シロイヌナズナのエコタイプを多数収集し、高CO2環境で育成し、どのような性質が高CO2環境での成長や競争を有利にするのかを研究することを第二の目的とした。これらの結果から、数理モデルを構築し、将来の高CO2環境でどのような進化応答が起こるのかを予測する。
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