研究課題
由来する親の起源を示す「印』がゲノムに記憶され、子においてその「印」に従って遺伝子が発現する現象を「ゲノム刷り込み」と呼ぶ。「Igf2/H19遺伝子座」において、前者は父親から、後者は母親から受け継いだ時にのみ発現する。この発現様式は、遺伝子座内の「Imprinting Control Region ; H19-ICR」により規定され、同領域は由来する親の性依存的にDNAのメチル化状態が異なる。H19-ICRは精子でのみメチル化され、卵ではされないため、生殖細胞特異的にメチル化するためのcis配列情報がH19-ICR内に存在することが示唆される。本研究は、酵母人工染色体導入マウス(YAC-TgM)の実験系を用いて、由来する親の性依存的に、非対称なDMRのメチル化を指令するゲノム配列を同定することにより、ゲノム刷り込みのメカニズムを解明することを目的とする。同目的の達成のために、申請者は平成24年度に以下の実験を行った。(1)YAC-TgMで観察された、受精後刷り込みメチル化に関わる酵素を同定するために、複数のDNAメチル化酵素遺伝子破壊マウスと、YAC-TgMとの交配をおこなった。その結果、2種類の酵素が同現象に必要であることが明らかとなった。(2)母親由来H19-ICRの非メチル化状態の維持に、同配列内のOct-Sox結合配列が関与することが示唆されている。同仮説の検証のために、Oct-Sox結合配列を欠損するYAC-TgMを作製し、そのメチル化解析をおこなった。(3)メチル化刷り込みの確立に必要なcisDNA配列を同定するために、H19-ICR配列の欠失変異体を用いて、YAC-TgMを作製し、その存在範囲を絞り込むことができた。
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Mol. Cell. Biol.
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http://www1.accsnet.ne.jp/~tanimoto/Keijis/Welcome.html