研究概要 |
本研究プロジェクトの目的は,環境の変化に対応するための基礎理論,および,実用的なアルゴリズム開発を行なうことであり,その成果をロボティックスやブレインコンピユータインターフェースなどに応用する事を目指す.本年度は,昨年度構築した動的な環境下で適切に学習を行なうための基礎理論をもとに,環境の変化を検出するアルゴリズムと環境の変化の影響を吸収するための機械学習手法を開発した.具体的には,重要度重みと呼ばれる,訓練入力データが従う確率密度関数と,テスト入力データが従う確率密度関数の比を効率良く推定するアルゴリズムuLSIF(unconstrained least-squares importance fitting)を開発し,その理論的性質を明らかにした.この手法は,解が解析的に求まるという優れた性質を持っているため,大規模なデータにも適用することができる.そして,uLSIFを用いた重要度重み付き回帰法・分類法の実験的性能評価を行った.また,uLSIFを用いた外れ値検出アルゴリズムを開発した.更にこれらのアルゴリズムを数値計算ソフトMATLABで実装したソフトウェアをインターネット上で公開した.更に,本年度は開発した非定常環境適応手法を,ロボット制御学習におけるデータの効率的再利用,ブレインコンピュータインターフェースにおける脳の非定常性への対応,自然言語処理におけるドメイン適応,話者認識における部屋・マイクの環境変化に応用し,その有効性を実証した.
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