OctaxPolarAideを用いて卵子透明帯複屈折率による受精卵品質評価の可能性を検討した。乾マタニティクリニックにおいて採卵周期または凍結融解周期合わせて136周期の卵子の透明帯複屈折率測定を行った。まず、透明帯厚さと複屈折率の相関を求めた結果、透明帯の厚さが15マイクロメートル未満(平均14.0±0.89)の場合の複屈折率は平均9.0±14.7であり両者の相関係数が0.07であった。透明帯の厚さが15マイクロメートル以上17マイクロメートル未満(平均16.0±0.6)の場合、複屈折率は平均16.0±17.9であり、両者の相関係数が0.01であった。透明帯の厚さが17マイクロメートル以上(平均20.1±4.06)の場合、複屈折率は平均18.8±20.4であり、両者の相関係数が0.05であった。いずれの透明帯厚さにおいても両者に有意な相関が無く、複屈折率を評価するにあたり透明帯厚さを考慮に入れる必要性はネガティブな結果を得た。次に、正常受精になったMII期卵子と受精に至らなかったMII期卵子の透明帯複屈折率をレトロスペクティブに検討した結果、正常受精群において複屈折率は149±19.3であり、非受精群において11.9±16.1であり、t検定の結果両者に有意な相関は得られなかった。また、受精群において受精前のMII期卵子と受精後前核期における透明帯複屈折率の差を検討した結果、複屈折率が増加した例が26例、減少した例が21例となり、複屈折率は透明帯弾性率及び酵素耐性とは別の現象を反映した物理量であることが分かった。
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