本年度の研究成果として、片麻痺上肢の機能訓練を目的としたバーチャルリアリティ技術による効果的な訓練システムを開発した。これは、保険診療における訓練時間の制約や訓練意欲低下などの問題に対し、患者が自主的に取り組むことが可能な装置を作成することにより、診療の補助となることを目指すものである。また、脳科学の知見を活かし、模倣学習を中心とした運動学習モデル課題を導入したことが特徴となる。 訓練装置は、座位となり机上に麻痺側上肢を置き、眼前のディスプレイに提示された指示によって所定の動作することによって行なうものである。上肢動作のモニター方法として、3次元動作センサーにより手動作、カメラにより平面座標を取得し、机上でのリーチ動作、前腕回外・回内動作、手背屈底屈動作をモニターする。画面に提示される訓練内容は、インストラクターによる手動作の模倣を中心に複数設定した。訓練意欲向上の観点から、課題施行中の支持的奈コメントの表示機能を設け、また娯楽性の高い専用ゲームも作製した。また拡張性の観点からPC上の入力装置としても利用が可能とし、マウス操作、ボタン操作が上肢動作により制御可能である。 次年度の臨床研究の準備として、健常人によるシステムの動作チェックを行うとともに、片麻痺患者による動作テスト、操作性テストを行なった。また、片麻痺患者における動作チェックは既存の3次元動作解析装置を用いて、各動作の軌道等を分析し、麻痺gradeと課題難易度の評価、システムのセンサーとの相関を評価した。
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