本研究では、通常の視覚に依存したGUI(Graphical User Interface)を視覚障害者にとっても利用可能とする触覚GUIの開発と、そのアプリケーションである触地図の開発を目的とする。そのために本年度は以下の3点を実施した。 1、入力機能を付加した触覚ピンディスプレイの開発 ユーザビリティ向上を目的に32×48ドットであったピシディスプレイをその2倍の大きさである32×96ドットに拡張した。各ドットは物理的なピンの上下動であるから、32×96ドットの動作完了時間も2倍に拡大してしまい望ましくない。ピンディスプレイの電源回路と情報伝送回路、および制御プログラムの改良を行うことで32×48ドットと同等の動作完了時間に短縮した。ここで得られた知見は、今後、更にドット数を拡大した大画面触覚ディスプレイにも適用可能である。 2、非言語情報コンテンツ獲得支援 ユーザが触っている図形と触っている位置のテキスト情報をパッケージ化する技術を開発し、本デバイスと音声情報とを融合したアプリケーションを構築した。触っている場所でクリックボタンを押下すると対応するテキスト情報が読上げられる。具体的なアプリケーションとして、ヨーロッパ地図、日本地図、ねずみやパンダなどの動物イラスト、等のコンテンツを作成した。コンテンツ作成には大変な労力と時間がかかるが、本研究ではぬりえ感覚で簡単にコンテンツを作れる仕組みを発案した。これにより盲学校の先生やボランティアの方々もコンテンツ作成に参加しやすくなりデバイスの普及につながる。 3、リアルタイム更新性触地図の開発 触地図を操作していると、地図上の自分の位置がわからなくなることが被験者実験から明らかとなった。触地図全体での自己位置表示と局所での詳細表示の関係性を示すデバイス開発へと着想し、実現可能性の検討を進めている。
|