通常の視覚に依存したGUI(Graphical User Interface)を視覚障害者にとっても利用可能とする触覚GUIの開発と、そのアプリケーションである触地図の開発を目的とした。研究期間において以下の成果を得ることができた。 1インタラクティブ型触覚ディスプレイの研究開発 触覚ピンディスプレイを6軸力覚センサが支持する構造により、指には何ら機器を装着することなしにアイコンなどのオブジェクトを直接操作が可能である32×96ドットの触覚ピンディスプレイを開発した。ピンディスプレイの電源回路と情報伝送回路、および制御プログラムの改良を行うことで20ms動作周波数を実現し、今後、更にピン数を拡大した大画面触覚ディスプレイにも適用可能である。 2リアルタイム更新性触地図の開発 従来の触地図は表示領域の制限、拡大縮小不可、製作困難性等、紙媒体特有の問題を有していた。パソコンで表示可能な地図データが入手可能である条件下では、音声情報、クリック、スクロール、拡大縮小等機能を付加したインタラクティブ型触覚ディスプレイにより上記の問題を解決した。 3自己位置表示デバイスの研究開発 触地図のように触っている形状や位置関係が重要となるコンテンツ、特にパソコン画面全域(VGAで30万ドット以上)に及ぶような場合には、自分の位置がわからなくなることが被験者実験から明らかとなった。注目点に連動して動作するリニアスライダを水平垂直に配置し、触地図全体での自己位置表示と局所での詳細表示の関係性を示すデバイス開発を行い被験者実験により有効性を検証できた。
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