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2008 年度 実績報告書

放射性炭素年代測定を利用した古筆切の史料的価値の判定

研究課題

研究課題/領域番号 20680037
研究機関名古屋大学

研究代表者

小田 寛貴  名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)

キーワード放射性炭素 / 古筆切 / 年代測定
研究概要

現存する平安・鎌倉期の古写本は, 完本としては極めて少ないが, 掛軸などに利用されたため断簡としては大量に伝来している. これが古筆切である. それゆえ, 古筆切には極めて高い史料的価値があるのだが, これら古筆切には後世に制作された偽物・写しも多い. そのため, 書写年代や筆者が不明のままでは, その価値も潜在的なものでしかない. 本研究は, こうした問題をもつ古筆切に放射性炭素年代測定法を適用し, 史料的な価値を判定するとともに, その上で平安・鎌倉期古写本の少なさゆえに従来困難であった研究課題の解明を行うものである. 和紙資料の年代測定には, 通常1.0-2.5mgのグラファイトを調製する必要がある, しかし, 古筆切は厚い裏打ちに対して本紙が薄く, 必要量の炭素を得られないことがある. そこで本年度は, 微量炭素試料に対する調製法の検討を行い, 約0.3mgまで試料量を低減させた. ただし, 0.5〜0.3mgの試料では反応収率が低く測定が不可能になるものも確認されたため, 古筆切については確実に年代値を得るため0.5mg以上の炭素試料で測定を行うものとした. また本年度は, 書写年代未詳の古筆切について年代測定をするための基礎研究として, 升底切・三宅切など書跡史学の面から書写年代・筆者等の判明している代表的な古筆切の年代測定を行った. 奈良時代から安土・桃山時代までの古筆切について得られた放射性炭素年代は, それらの書写年代と一致しており, 放射性炭素年代測定によって古筆切の書写年代の判定が可能であること, さらに筆者の推定に有効な情報が与えられることを実証した。藤原定家・西行ら歴史上有名な人物の筆とされる古筆切には, 特に後世の偽物・写しが多い. 本年度は, こうした年代未詳の古筆切の年代測定も開始した. 西行筆とされる古筆切について行った測定結果は, 西行筆ではなく後世の写しもしくは偽物であるとの結果を得た.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 伝飛鳥井雅経筆古筆切の放射性炭素年代と源氏物語絵巻の制作年代2009

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 学会等名
      第11回AMSシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋)
    • 年月日
      2009-01-14
  • [学会発表] 古筆切の伝承筆者と書跡史学的年代・^<14>C年代との相違に関する研究-古筆切の^<14>Cから見た源氏物語絵巻の成立年代-2008

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 学会等名
      第52回放射化学討論会
    • 発表場所
      広島大学(広島)
    • 年月日
      2008-09-27
  • [学会発表] Radiocarbon dating of kohitsugire calligraphies attributed to Fujiwara Shunzei : Akihirv-gire, Ore-gire and Ryosa-gire2008

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 学会等名
      11 th International Conference on Accelerator Mass Spectrometry
    • 発表場所
      ローマ(イタリア)
    • 年月日
      2008-09-18
  • [学会発表] 古筆切の伝承筆者と書跡史学的年代・^<14>C年代との相違に関する研究-伝藤原俊成筆顕広切・御家切・了佐切を中心に-2008

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴, 池田和臣
    • 学会等名
      日本文化財科学会第25回大会
    • 発表場所
      鹿児島国際大学(鹿児島)
    • 年月日
      2008-06-15

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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