本年度は、『新編会津風土記』を基礎データとした歴史GISの構築に関する検討について大幅な進捗をみた。 具体的には、『新編会津風土記』に掲載されているデータのタイプを全て確認した上で、歴史GISの構築において重要な部分であるデータベースの構築についての作業を進めた。前年度に引き続き耶麻郡を例として、試験的に村ごとの地理情報を全て表計算ソフトに入力し、どのような項目が存在するのかということを把握した。この作業は前年度よりも、より具体的な事項を入力したテストであり、この作業の中で様々な解決すべき点が存在することが浮かび上がってきた。そこで8~10月にかけて、全ての地域について地理情報をどのようにデータベースに落とし込んでいくかということについて確認作業を進めた結果、地域ごとにデータの読み替えなどを行う必要はあるものの、『新編会津風土記』を総体としてとらえ、データベースを構築することは十分に可能であることが改めて確認することが出来た。以上のような作業と平行しつつ、『新編会津風土記』データベースのフォーマットおよび作業マニュアルを作成し、そのテストを12~2月にかけて実施した。それにより新たな課題は判明したものの、おおむね問題なく、このまま作業を続行できることが確認できた。 また、2010年2月20日に福島県立博物館で実施された「会津慶長地震プロジェクト」の第2回学習会において話題提供者として参加した際に本研究計画について広く周知する機会を得ることが出来た。 さらに、福島県立図書館寄託の『新編会津風土記』についてもあわせて調査を行い、本研究プロジェクトが底本としている新潟県立図書館所蔵本の性格について知見を得ることができた。この知見については昨年度から継続している、福島県立図書館本との比較作業が未完了であるため、論文として報告するには至っていないが、作業が完了次第、公表する予定である。
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