研究概要 |
テーパーガラスキャピラリーを用いたマイクロビーム発生装置が設置された既存のビームライン(図3)上に新たに照射用大型真空容器を配置した. ガラスキャピラリーをビームラインの末端に取り付け, ビーム軸に対する傾きを調整するためのアクチュエータを設置した. ガラスキャピラリーにタンデム加速器からの陽子ビームを入射し, キャピラリーを通過したイオンのエネルギースペクトルと半導体検出器で測定した. また, 検出器でのイオンのカウントレートと入射ビーム電流量との比較からファイバー内でのイオンの輸送効率を求めた. 一方, モンテカルロ法を用いたガラスキャピラリー中のイオン輸送コードの開発を行った. 壁での小角散乱の効果を取り入れることで, MeVエネルギー領域おけるイオンの輸送過程のシミュレーションを行い, キャピラリー通過後の陽子の角度分布, エネルギー分布を詳細に調べた. シミュレーションで得られた結果は, 実験結果を非常によく再現しており, 壁での散乱効果がキャピラリー内でのイオンの集束効果をもたらしていることを明らかにした.
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