研究課題
健康影響が懸念されるにもかかわらず、アセトアルデヒドの発がんおよび非発がんの毒性発現機序は明らかでない。本課題はアセトアルデヒドのミトコンドリアを介した毒性発現機序を分子機序レベルで解明し、リスク評価の際に有用な毒性発現機序を明らかにすることを目的とする。本年度は(1)A1dh2ノックアウトマウスをアルデヒド曝露し、核酸を抽出。形成されたα-Me-γ-OH-PdGの細胞核ゲノム対ミトコンドリアゲノムの比較。(2)細胞核およびミトコンドリアゲノムの代表的遺伝子の定量PCRを行い、アルデヒド曝露によりミトコンドリアゲノムが損傷を受け細胞核に対するミトコンドリアゲノム数が減少していることを示す。(3)α-Me-Y-OH-PdGが細胞核ゲノムに比べミトコンドリアゲノムにおいて高率に検出されることをLC-MS-MSを用い示す。(4)モデル蛋白質を用いアセトアルデヒド蛋白質付加体の効率的反応条件、および異なる反応条件でどのアミノ酸に結合しやすいか、アミノ酸分析、LC-DAD、電気泳動法等を用い同定。することを行った。この結果(1)アルデヒド曝露したA1dh2ノックアウトマウスの細胞核ゲノムにおける核酸付加体の増加を認め学術誌に投稿中。ミトコンドリアゲノムに関してはLC-MS-MS分析に十分な量の抽出核酸量の確保を行い解析。ミトコンドリアゲノム全長ゲノムシークエンスで変異部位探索。(2)モデル蛋白質を用いたアセトアルデヒドのアミノ酸結合部位の検討は、LC-DADを用いた検討で可視広域に新たな吸光度波長を検出し、この一部を発表した。この吸光度波長の出現から芳香族アミノ酸部位への反応が予想されるので、LC-MS-MSを用いた構造解析を準備中である。また、モデル蛋白質で得た反応条件の知見を利用し、チトクロム類での付加体結合部位を検討中。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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