研究課題
有機薄膜太陽電池は低コストな光エネルギー変換システムとして注目されており、これまでにも多くの研究が報告されているが、その実用化に向けてはさらなる光電変換効率の向上が必要である。太陽電池デバイスの活性層を構成するアクセプター分子の研究に関しては、標準的材料であるPCBMより高いLUMOレベルをもつフラーレン誘導体を合成することが、太陽電池デバイスにおける開放電圧(Voc)と光電変換効率(PCE)を向上させる上で重要である。一方、当研究室では最近、C60のσ骨格を変換することによりLUMO準位を精密制御した開口C60誘導体を合成した。開口C60誘導体のLUMO準位をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により決定した結果、エーテル誘導体はPCBMより高いLUMOレベルをもつことから、有機薄膜太陽電池のアクセプター材料として有用ではないかと考えた。新規開口フラーレン誘導体をアクセプター、P3HTをドナーとして有機薄膜太陽電池のデバイスを作製し、特性評価を行った結果、いずれのデバイスも太陽電池特性を示すことがわかった。特に、エーテル誘導体はPCBMよりLUMOが高いことを反映して、デバイスの開放電圧(0.74V)はPCBMのデバイス(0.60V)より20%ほど高い値を示した。また、開口C60誘導体のLUWO準位とデバイスの開放電圧には相関があり、フラーレンのσ骨格の構造変換がLUMO準位ならびにデバイスの開放電圧の制御に有効であることを見出した。
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